アート写真 豆本工房「Y&M Art Photo Shop」 は、現在準備中です。
2019/08/01 20:56
実は、私はプリンタにあまり詳しくなかったので、これを選ぶのにはかなり時間をかけました。また、技術革新で古い技術をつかんでしまい、買った後に最新の技術のプリンタが出てくるとかなりダメージが大きいので、その点もメーカーのサポートに電話し確認するなど、相当慎重に選びました。
さて、人間の目の分解能は0.1mmと言われているそうです。0.1mm以下の細かい部分は見分けられないということです。一般に印刷する場合、画質は300dpi以上ないといけないとよく言われます。このご時世ですので、銀塩プリントでもプリンタで印刷するにしても、300dpi以上は当然クリアしています。ちなみに300dpiということは、1インチ(25.4ミリ)の中に、点が300コあるということです。つまり、300dpiということは1ミリの中に点が、約12コある計算になります。
次に、インクの違いについて色々調べました。今まで染料インクのプリンタは2台ほど使ってきました。主に用途は、年賀状印刷でした。フォトペーパーも購入して写真印刷もしてみましたが、安価な家庭用プリンタだったため、出番はやはり年賀状だったり、文書を印刷する程度の用途でした。この時から気がついていましたが、染料インクが水に弱いのには参っていました。水性のペンを想像していただければ、分かると思いますが、簡単に水ににじんでしまいます。
とりあえず、染料インク・顔料インクの特徴をまとめてみました。
[染料インクの特徴とメリット・デメリット]
染料インク=水性。発色がよく、クリアで鮮やか。用紙の表面にインクの凸凹がなく、光沢感を得やすいので光沢系の用紙を使うことが多い方が向いています。プリントそのものの時間は速いものの、インクが乾燥するまで(色が安定するまで)に時間がかかったり、簡単に水ににじんでしまいます。また、光や空気に触れると、時間とともに色が薄くなりやすいという欠点があります。つまりは、色再現の精度や保存性を重視するのではなく、素早く手軽にプリントしたい方向けということですね。
[顔料インクの特徴とメリット・デメリット]
顔料インクは油性のイメージ。高精細な色再現・豊かな階調性で光沢紙に限らず、色々な用紙に適しています。また、早く乾いて色もすぐに安定します。また、顔料インクで出力したプリントはどのような光源下でもある程度一定した色で見えるようになっています。フォトギャラリーや美術館などに展示するレベルの高品質なプリントが出力できます。一方、こすれやはがれに弱い欠点もあるので、丁寧に扱っていただければと思います。
ということで、顔料インクのプリンタに絞って探していくことにしました。
写真プリントとなると、すぐにプリンタの2大メーカーに絞られ、印刷サイズについては、将来大きなサイズで展示したいということを見すえて、最大A2サイズとしました。
(↓大きさ比較のためオレンジ色のCDを置いてみました)
最終的にC社としましたが、その理由を以下に記載します。
E社では用紙に応じてマットブラック、フォトブラックのインクを切り替えますが、切り替えのときにすでに入っているインクをいったん捨てて、新しいインクに入れ替えてプリントします。用紙を頻繁に切り替える場合にはインクをかなり消費してしまうデメリットがありますが、C社の場合はマットブラックとフォトブラックでそれぞれヘッドがあるので、インクの切り替えの必要がありません。紙も色々試してみたいし、インクもできるだけ効率よく使いたい私にとってこれは大きなポイントになりました。
また、かなり大きな32キロほどもあるプリンタなので、保守の仕組みについても細かく調べました。画質等にはあまり関係がないので、この理由については省きますが、C社の方が私のニーズに合っていました。
(眺めも壮観な12色のインク。この内、4色がブラック系)
インクは全部で12色。マットブラック、フォトブラック、ダークグレー、グレー、ライトグレー、シアン、マゼンタ、イエロー、フォトシアン、フォトマゼンタ、レッド、クロマオプティマイザーを搭載し、その中で黒系インクは5種類にもなり、黒の階調性にこだわる意欲が感じられます。光沢を均一にする透明インク「クロマオプティマイザー」は、色域拡大、光沢均一性、ブロンズ低減の3つの役割を果たすということで、光沢感が増すとともに黒の濃さを引き締め、蛍光灯の光がピンク色に反射して見えるブロンズ現象も抑制できるということです。いざ、大伸ばしのプリントをすると、階調の豊かさや撮影した風景を再現してくれる臨場感は、A2サイズならではという気がします。A2サイズの作品は、かなり高価になると思いますが、ぜひご購入いただいて、その世界観を味わっていただきたいと思います。もちろん、小さなサイズのプリントも同じプリンタで出力するので、負けてはいませんよ。
心配していたインクについては、インクタンクが大型で80mlの大容量タイプの完全なプロ仕様。これが12色あるので、インクの消費が恐くて、一般の写真家の方にはなかなか手出し出来ないレベル。プリンタの幅が約72cm、重量は約32kgと、この春に納品されたものの、設置も1人でなんとか出来たという感じ。故障した場合、配送業者さんが玄関までとりに来てくれるのだが、玄関まで運ぶのが、とても大変なので、出来ればずっとトラブルなく動いてほしいところです。
最高のアート写真作品を作るために、最後の仕上げである「プリンタ選び」をまずは極めてみました。ぜひ、小さなサイズのフォトカードから、ディスプレイで見る風景とは違った世界をお手元に飾っていただいて、あなたの気持ちがゆったりとして癒されることを願ってやみません。